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仮面ライダーとは何か―石森章太郎の描きたかったこと@北京日本人学術交流会

2017年12月9日 @ 16:00 - 20:00

社会人200元、学生100元

第306回北京日本人学術交流会においては、日中文化交流カフェとして第144回北京日本人学術交流会に続き日本の誇る漫画家、石ノ森章太郎氏の作品世界を取り上げます。石ノ森章太郎氏は、手塚治虫氏とならぶ日本が世界に誇る多作の漫画家です。その数多くの作品を通して石ノ森章太郎氏は一体なにを描こうとしていたのか、とりわけ石ノ森氏の代表作である仮面ライダーという作品を取り上げ改めて日中で共同討論がなされることになります。
1971年に毎日放送でテレビ放送が、開始されることになる『仮面ライダー』という作品は、たちまち大評判を呼び、社会現象にまでなります。このころ少年だった人で“変身”ポーズをまねしたことがない人を探す方が難しいでしょう。
現在においては、ウルトラマンとともに日本における二大ヒーローになっていることは、よく知られています。その後、シリーズ化され今日もその作品は制作され続けています。実は、中国では、ウルトラマンと仮面ライダーは、混同されていることが多く、仮面ライダーをウルトラマンと同じ、宇宙人だと思っている中国人も少なくありません。しかし、仮面ライダーは、改造人間でした。もともとは、世界征服を狙う秘密結社であるショッカーに知能においても体力においても優れた青年、本郷猛が、改造され常人とはかけ離れた超能力を身に着けたところから物語は始まります。ショッカーの脳手術の直前に本郷猛は、ショッカーの基地から逃げ出し、ショッカーを裏切りごくごく少数の理解者とともに人間の自由と正義のために闘うというのが、仮面ライダーの物語の大筋でした。ここにおいて石ノ森章太郎氏は「痛みを背負った孤独なヒーロー像」を提示し、多くの人々の共感を呼ぶことになります。こうした「痛みを背負った孤独なヒーロー像」は、石ノ森作品には、少なくなく『人造人間キカイダー』や『サイボーグ009』においてもほぼ同じ物語の構造が反復されています。石ノ森氏はこうした物語を通して人々に何を伝えたかったのでしょうか。そしてそれらの作品が、現在において持つ意味とはどのようなものでしょうか。また中国とのかかわりや演じた俳優とのかかわり、ほかの特撮作品とのかかわり、中国人の感想など前回では十分に論じられなかったことも含めて論じる予定です。
ご関心のある方は、参加いただければ幸いです。
12月7日(金曜)の深夜までに以下のフォームにお申し込みください。
◎第306回北京日本人学術交流会
◎日時;2017年12月9日(土曜)午後3時半開場、午後4時開始、映像鑑賞、共同討論、食事含めて午後8時ごろまで
◎場所;亮馬橋幸福ビルB座9階(詳しくは申し込んでくれた方にお知らせします。)
◎日中文化交流カフェ「仮面ライダーとは何か―石森章太郎の描きたかったこと」
◎司会;山口直樹(北京日本人学術交流会責任者)
◎参加費;社会人200元、留学生100元(資料代、食事代、運営費など)
◎言語;主に日本語
(要旨)
◎はじめに
石ノ森章太郎氏は、日本が世界に誇る漫画家である。第144回北京日本人学術交流会に続き、石ノ森章太郎氏の作品世界をとりわけ仮面ライダーに焦点を当てて共同討論する。
石ノ森章太郎原作による異形のヒーロー、仮面ライダーが、誕生するのは1971年4月3日のことであった。このヒーローは、たちまち人気を博し、社会現象にまでなる。当時の子供たちは、スポンサーのカルビーの発売していたスナック菓子についていた仮面ライダーカードほしさに群がっていた。そのなかでカードだけ入手してスナック菓子は、捨ててしまう子供が続出し、社会問題にもなっていた。当時少年だった人で“変身”ポーズをしたことがない少年を探すことは難しいであろう。
それだけの影響力を有したこの作品は、『仮面ライダーV3』『仮面ライダーX』『仮面ライダーアマゾン』そして『仮面ライダーストロンガ―』など続編が次々と制作され、平成仮面ライダーの一連の作品に続いていくこととなった。
中国においては仮面ライダーは、假面超人と表記されよく知られている。しかし、ウルトラマンのような宇宙人だと誤解している中国人も少なくない。
仮面ライダーは、宇宙人ではなく改造人間である。1971年4月3日にテレビ放送された第一話は、城西大学の知力と体力に優れた青年科学者、本郷猛(演;藤岡弘)が世界征服を狙う悪の秘密組織ショッカーに改造されるところから始まる。(ショッカーの思想は基本的に超エリート主義であり選民思想である。少数支配による人類の改造と再編成が、ショッカーの基本戦略である。)
しかし、本郷猛は、脳手術される直前にショッカーの基地から恩師、緑川博士の助けを得て脱出し、組織を裏切ることになる。
そしてごく少数の理解者であるおやっさんこと立花藤兵衛(演;小林昭二)らとともに人間の自由と平和のために闘うという物語である。

ここにおける第一のポイントは、仮面ライダーは、悪の組織ショッカーによって改造された改造人間であるということである。仮面ライダーの超人的な能力は、悪の組織ショッカーのテクノロジーによって開発されており、のちにおくりれこまれてくるさまざまなショッカーの怪人と同様、脳手術の前に脱出していなければ、怪人バッタ男あるいはトンボ男などとして人間の自由と平和に敵対していた可能性が高い。悪の組織ショッカーを裏切ることによってこそ痛みを背負った孤独な正義のヒーロー、仮面ライダーは誕生する。仮面ライダーとは「悪から与えられた力を使って悪と戦う物語」である。この物語の構造は、『人造人間キカイダー』『サイボーグ009』においても同様である。悪の組織ダークを裏切ることによってキカイダーは誕生したし、悪の組織ブラックゴーストを裏切ることでサイボーグ009は誕生した。(石ノ森章太郎氏のアシスタントをつとめたこともある弟子にあたる永井豪氏の『デビルマン』もまたデーモン族を裏切る裏切りの物語であり、基本的に仮面ライダーと同じ物語の構造をもっている。)

第二のポイントは、一般の人々は悪の組織ショッカーの正体を知らず、またウルトラマンにでてくる科学特捜隊のような公的な組織も仮面ライダーには、ほとんど登場しないということである。仮面ライダーである本郷猛のごく少数の理解者である「おやっさん」立花藤兵衛は、バイク屋やスポーツ用品店の店主という一民間人であった。仮面ライダーは、こうした民間人の協力を得て悪の組織ショッカーと戦っていたのであった。

第三のポイントは、仮面ライダーは、バッタをモデルとしており、自然の象徴であり、風力エネルギーをもとにして活動しているということである。石ノ森氏は仮面ライダーのコミックで「お前たちショッカーの地球征服という野望を打ち砕き、人類の平和を守るため・・・・大自然がつかわした正義の戦士仮面ライダー」というセリフを仮面ライダーに語らせている。ショッカーはその科学技術力によって自然と人間を支配しようとする悪の組織であるが、それに反乱を起こすのが、仮面ライダーなのである。仮面ライダーは、開始当初の企画では、十字仮面やスカルマンといった黄金バットのような不気味な仮面をかぶったヒーローとして構想されていたことは、記憶されてよいだろう。

主に以上のような三点について焦点をあて仮面ライダーという物語を再考するとともに石ノ森章太郎という漫画家がどのような人物だったかにも焦点を当て石ノ森章太郎氏が人々に伝えたかったメッセージとはなんだったのかについて日中共同討論が行われる。また中国とのかかわりや演じた俳優とのかかわり、ほかの特撮作品との関係、中国人の感想など前回では十分に論じられなかったことも含めて論じる予定である。

詳細

日付:
2017年12月9日
時間:
16:00 - 20:00
費用:
社会人200元、学生100元
イベントカテゴリー:
イベント タグ:
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会場

亮馬橋幸福ビル中華料理店京味菜の一室

主催者

北京日本人学術交流会

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