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「民意とは何か―社会的選択理論から再考する多数決」@北京日本人学術交流会
2016年12月31日 @ 15:30 - 20:00
社会人200元、学生100元2016年最後の第259回北京日本人学術交流会においては、
「民意とは何か―社会的選択理論から再考する多数決」というテーマで共同討論が行われます。
2016年で印象深かった出来事としては、イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選などがありますが、これらは「民意とは何か」を私たちに考えさせる出来事でした。
「多数決で決めたから民主的」「選挙で勝った者の考えが民意」
こうした民主主義理解が、自明のようになっていることも多いですが、本当にそうでしょうか。 こうした民主主義理解に問題はないでしょうか。
たしかに投票がない民主主義はない以上、 民主主義を実質化するためには、 何らかのルールが必要なことはたしかでしょう。
しかし、多数決が決して最良の方法とは言えず、さまざまな問題点を抱えていることも知られています。
たとえば、日本における国政制度でも地方選挙でも一人一票による多数決方式 が採用されており、この方式の下では、一人は最も支持する候補しか選べません。二番目、三番目の支持表明はできません。全有権者から二番目に支持を受けた候補がいたとしても投票されることはなく、したがってその候補者が当選することはありません。このような政治制度では油断すると簡単に衆愚政治に陥りかねません。
また多数決は、票のわれに弱いという弱点を持っています。
2000年のアメリカ大統領選は、当初、ゴアが優勢でしたが、泡末候補のネーダーが立候補をしたため票を食い合い結果的にブッ シュが、当選しました。この結果、 大量破壊兵器を口実にイラクに攻撃がかけられ、その結果としてIS(イスラム国)が出てくるわけですから、多数決が世界に与える影響は、極めて大きいといえます。
(2016年のアメリカ大統領選も得票数だけでいえば、トランプよりヒラリーのほうが、上回っていました。)
また多数決は、少数の意見を切り捨ててしまうという問題点を持っていることは、中学校の教科書にも書いてあります。多数決は、人々の意見を集約するルールとしては穴の多いものです。
ではこれに代わる代替案は、あるでしょうか。
そうした問題を考える学問分野として社会選択理論があります。
この社会選択理論は、フランス革命前のフランスでコンドルセやボルダといった人によって開始されその学知の集積が、今日、 社会選択理論となっています。
たとえば坂井豊貴『多数決を疑うー社会的選択理論とは何か』(岩波新書2015)には、
「政治に文句があるなら自分が選挙に立候補して勝て」といった物の言い方がある。
何を根拠にしているか不明だが、それを口にしているものの頭の中ではそれが「ゲームのルール」なのだろう。だがわざわざ政治家にならなければ、文句を言えないルールのゲームは、あまりにプレイの費用が高いものでそれは、事実上「黙っていろ」 というようなものだ。人々に沈黙を求める仕組みは、まったくもって民主的ではない。」(150頁)と書かれていますが、現在の多数決の問題点を凝縮して述べているような言葉です。
次の約250年前のルソーの言葉と比較してみてもよいでしょう。
「人民の代議士は、人民の代表ではないし、人民の代表になることはできない。 代議士は人民の代理人に過ぎないのだ。代議士が最終的な決定を下すことはできないのだ。」(ジャン・ジャック・ルソー)
2016年最後の日に行われる第259回北京日本人学術交流会では、本書に依拠しつつ、社会的選択理論の具体的内容を参加者と共有し、現代の多数決の問題点(たとえば日本の小選挙区制などなど)やその代替案について考えます。
貴重な機会となるかと思われます。
参加を希望される方は、以下のフォームから12月29日(木曜) 深夜までにお申し込みください。
https://legacy.creativesurvey. com/reply/ 55d4c7d74f57f9147cf4eb9fe6e0b5
(なお個人情報は、正確にお願いいたします。せっかく申し込んでいただいたのに間違いがあるために最終案内が 届かないケースが報告されています。)どうぞよろしくお願いいたします。
以下の要領で行われます。
◎第259回北京日本人学術交流会
◎日時:2016年12月31日(土曜)午後3時開場、午後3時半開始、映像鑑賞、報告、コメント、食事、質疑応答などふくめて午後8時ごろ終了予定。
◎場所:亮馬橋幸福ビルB座中華レストラン京味菜の一室(詳しくは申し込んでいただいた方にお知らせします。)
◎テーマ:「民意とは何か―社会的選択理論から再考する多数決」
◎報告者:山口直樹(北京日本人学術交流会代表)
◎参加費:資料代、運営費、食事代
社会人(企業派遣留学生含む)200元、学生100元
◎言語:主に日本語
(要旨)
2016年で印象深かった出来事としては、イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選などがありますが、これらは「民意とは何か」 を私たちに考えさせる出来事であった。
「多数決で決めたから民主的」「選挙で勝った者の考えが民意」
こうした民主主義理解が、自明のようになっていることも多いが、本当にそうだろうか。こうした民主主義理解に問題はないだろうか。
たしかに投票がない民主主義はない以上、 民主主義を実質化するためには、何らかのルールが必要なことはたしかである。
しかし、多数決が決して最良の方法とは言えず、さまざまな問題点を抱えていることも知られている。
たとえば、日本における国政制度でも地方選挙でも一人一票による多数決方式が採用されており、この方式の下では、 一人は最も支持する候補しか選べない。二番目、三番目の支持表明はできません。全有権者から二番目に支持を受けた候補がいたとしても投票される ことはなく、したがってその候補者が当選することはない。このような政治制度では油断すると簡単に衆愚政治に陥りかねない。
また多数決は、票のわれに弱いという弱点を持っている。
2000年のアメリカ大統領選は、当初、ゴアが優勢だったが、泡末候補のネーダーが立候補をしたため票を食い合い結果的にブッ シュが、当選した。この結果、 大量破壊兵器を口実にイラクに攻撃がかけられ、その結果としてIS(イスラム国)が出てくるわけなので、多数決が世界に与える影響は、極めて大きいといえる。
(2016年のアメリカ大統領選も得票数だけでいえば、トランプよりヒラリーのほうが、上回っていた。)
また多数決は、少数の意見を切り捨ててしまうという問題点を持っていることは、中学校の教科書にも書いてある。多数決は、 人々の意見を集約するルールとしては穴の多いものである。
ではこれに代わる代替案は、あるだろうか。
そうした問題を考える学問分野として社会選択理論がある。
この社会選択理論は、フランス革命前のフランスでコンドルセやボルダといった人によって開始されその学知の集積が、今日、社会選択理論となっている。
たとえば坂井豊貴『多数決を疑うー社会的選択理論とは何か』(岩波新書2015)には、
「政治に文句があるなら自分が選挙に立候補して勝て」といった物の言い方がある。
何を根拠にしているか不明だが、それを口にしているものの頭の中ではそれが「ゲームのルール」 なのだろう。だがわざわざ政治家にならなければ、 文句を言えないルールのゲームは、 あまりにプレイの費用が高いものでそれは、事実上「黙っていろ」というようなものだ。人々に沈黙を求める仕組みは、まったくもって民主的ではない。」(150頁)と書かれています が、 現在の多数決の問題点を凝縮して述べているような言葉である。
次の約250年前のルソーの言葉と比較してみてもよいだろう。
「人民の代議士は、人民の代表ではないし、人民の代表になることはできない。 代議士は人民の代理人に過ぎないのだ。 代議士が最終的な決定を下すことはできないのだ。」(ジャン・ジャック・ルソー)
2016年最後の日に行われる第259回北京日本人学術交流会で は、本書に依拠しつつ、社会的選択理論の具体的内容(ボルダルー ルやルソーの『社会契約論』から発展してきた考え方など)を参加者と共有し、現代の多数決の問題点(たとえば日本の小選挙区制な どなど)やその代替案について考える。多くの方と2016年最後の討論を共有できれば幸いである。

