- このイベントは終了しました。
張芸と国家大劇場管弦楽団によるマーラー演奏会
2022年7月9日 @ 19:30 - 2022年7月10日 @ 22:00
張芸と国家大劇場管弦楽団によるマーラー演奏会
(原題张艺与国家大剧院管弦乐团演绎马勒)
国家大劇場音楽ホール(国家大剧院音乐厅)
7月9-10日19時30分(土曜日、日曜日)
グスタフ・マーラー:交響曲第6番イ短調悲劇的(約80分)
19世紀ウィーンでは文学、哲学、美術、音楽を横断する世紀末芸術が流行します。その音楽代表ともいえるのがマーラーです。ウィーンフィルの首席指揮者やワーグナーの解釈者など演奏家として頂点を極めますが、作曲家としては新奇で難解な音楽性は当時一般に理解されたとは言えず、「いずれ私の時代が来る」との言葉を残すことになります。
そんなマーラーの音楽が脚光を浴びたのは20世紀末でした、彼の弟子、孫弟子といえるユダヤ人音楽家が精力的に彼の音楽を取り入れ続けた事。長大な曲がCD時代にマッチした事。破滅へと向かう分裂傾向のある彼の音楽性が20世紀末のパラノ(偏執)からスキゾ(分裂)への変遷という時代の空気にマッチしたからなど言われますが、難しく考える事はありません。彼の音楽独特のオーケストラの性能をフルに活かしたダイナミックな響きと時に妖しいまでの甘い響きのハーモニーを楽しめばよいかと思います。
交響曲第6番はマーラーが公私とも最も充実していたころに書かれています。しかしながら、その作品はタイトルにあるように悲劇的で、マーラーは今後の自分の人生の崩壊を予言していたのかも知れません。
彼の作品としては珍しくオーソドックスな4楽章形式の作品で声楽も導入されない純器楽曲という形式をとりますが、その中身は異形のマーラー節さく裂で、まさに羊の皮をかぶったマンモスという趣です。通常『運命』などに代表されるように交響曲は苦悩から歓喜という流れを取るのですが、この曲は悲劇的に始まって悲劇的に終わります。他にも独特な打楽器や管楽器の使い方もあり、それゆえ正当に寄せるか、異形を強調するか、指揮者による解釈差が非常に大きい作品でもあります。演奏時間からして70分から90分まであったりします。果たして今回はどのような演奏になるのか。今回指揮をする張芸さんは国家バレー団の音楽監督を務める方で何回か演奏を見させていただきましたが、非常に盛り上がる演奏をする方なので、この曲とは相性ばっちりではないかと思います。
そしてマーラー作品はオーケストラ作品の中でもダイナミックレンジが非常に広く、家庭用オーディオではボリュームを絞れば聴こえない箇所があり、かといってボリュームを上げると大惨事なんて事もあり。劇場でこそ最も真価を発揮する曲達なのです。そしてこの6番では聴くだけではわからない視覚的効果も色々あるので、ぜひ現地でご確認いただきたい。では劇場でお会いしましょう。